私はドラッグストアで約5年間、化粧品担当として働いていました。
5年も続けたというと「化粧品が好きで、接客も得意だったんだろう」と思われるかもしれません。
でも、実際はほぼ逆です。
声かけは苦手だし、断られるとへこむ。売上を追うのもプレッシャー。おまけに、お客様の顔と名前を覚えるのもかなり苦手でした。
働いている間も「やっぱり私、この仕事向いてないな」と何度も思っています。
もちろん、給料をもらって仕事をしている以上「向いてないからできません」で済ませていたわけではありません。
嫌だなと思いながらも声をかけたり、接客したお客様のことをメモしたり、商品が売れなければPOPを作ったり。自分なりにできることはやっていました。
それでも5年働いて「慣れたら天職になりました!」とはなりませんでした。
じゃあ、なぜ5年も続けたのか。
そこには仕事のやりがいだけではなく、給料や転職、資格、当時のライフプランなど、かなり現実的な理由があります。
この記事では、そんな私の経験から、化粧品担当に向いている人・苦労しやすい人と「向いていない」と思いながら5年間働いた理由を紹介します。
※仕事内容や求められる接客スタイルは会社・店舗・雇用形態によって異なります。ここでは、私が勤務していた当時の経験をもとに書いています。
化粧品担当に向いている人はどんな人?
約5年間働いていると「この人、化粧品担当として強いな」と感じる人に何人も出会いました。
接客スタイルは人それぞれですが、売上が強い人や固定のお客様が多い人には、いくつか共通点があったように思います。
化粧品や美容が好きな人
これはやっぱり強いです。
化粧品担当になると、スキンケアやメイク用品など、かなり多くの商品について覚えます。
しかも一度覚えたら終わりではありません。新商品は次々出ますし、メーカーの研修などで新しい情報を覚える機会もあります。
私はもともと化粧品が好きで、成分についても多少は知識があったので、ここはあまり苦ではありませんでした。
むしろ研修で新商品について教えてもらうのは楽しかったです。
だから、最初からものすごく詳しくなくても大丈夫。
「化粧品についてもっと知りたい」と思えるなら、知識は働きながらかなり増えていきます。
初対面のお客様にもどんどん声をかけられる人
これは本当に強い。
ドラッグストアでは、化粧品売場にいるだけで次々お客様から相談されるわけではありません。
商品を見ている方に、
「何かお探しですか?」
と自分から声をかける場面もあります。
もちろん「大丈夫です」と断られることも普通にあります。
そこで気にせず次のお客様へ行ける人は、販売の仕事に向いているなと思っていました。
私はというと、何人も連続で断られると普通にへこみます。
「もう声かけたくない……」と思いながら、それでも仕事なのでまた声をかける。
5年働いても、ここはあまり得意になりませんでした。
売上を追うのが苦にならない人
数字を追うのが好きな人も強いです。
同じ「あと○万円」という数字を見ても、
「あとこれだけなら、どうやって売ろう?」
と燃える人もいます。
POPを変えたり、売場を工夫したり、キャンペーンを考えたりして、それが数字につながるのを楽しめるタイプです。
私は完全に逆。
「あと○万円だ!」と燃えるより、
「あと○万円も売らなきゃいけないのか……」
とプレッシャーになるタイプでした。
化粧品は好きでも、化粧品を売ることが好きかどうかは別なんだなと、働いてから実感しました。
お客様に覚えてもらえる人
化粧品担当を長くやっていて感じたのが、個性がある人は強いということです。
必ずしも、いわゆる「美容部員っぽい人」が一番売れるわけではありません。
話していて面白かったり、キャラクターがはっきりしていたり、お客様との距離を縮めるのが上手だったり。
「この人から買いたい」と思ってもらえる何かを持っている人には、固定のお客様がついていました。
ベテランになると、担当者に会うために来店するお客様もいます。
商品を覚えてもらうだけではなく、自分自身を覚えてもらえる人はやっぱり強いです。
お客様の顔や以前の会話を覚えられる人
そして、私が壊滅的に苦手だったのがこれです。
化粧品は、一度接客して終わりではありません。
以前接客したお客様がまた来店して、
「この前買ったやつ、よかったよ」
と話しかけてくださることもあります。
そんなとき、
「○○使ってましたよね。その後どうですか?」
とすぐに返せる担当者はすごいです。
ベテランの人がお客様の顔を見ただけで、前回買ったものまで覚えているのを見て、
「なんで覚えてるの?」
と何度思ったことか。
私は本当に顔と名前を覚えるのが苦手だったので、接客した内容をメモしていました。
それでも思い出せないことはあります。
なので、人の顔や会話を覚えるのが得意なら、それだけでもかなり武器になると思います。
逆に、私は「向いてない側」にかなり当てはまっていた
ここまで書いていて自分でも思いますが、私は「向いている人」の特徴にそこまで当てはまりません。
化粧品は好き。
でも、積極的な販売は苦手。
数字を追うのも苦手。
断られるとへこむ。
人の顔もなかなか覚えられない。
今振り返っても、
「よく5年やったな」
とは思います。
売上を考えすぎると接客がしんどくなった
私は、お客様の悩みを聞いて、その方に合いそうな商品を一緒に探す接客は好きでした。
一方で、
「今日はこの商品を売らなきゃ」
という気持ちが強くなると、途端に接客がしんどくなります。
もちろん、お客様に合わないものを無理にすすめるわけではありません。
それでも、自分が純粋に「これが合いそう」と思ってすすめるのと、売上を意識しながらすすめるのとでは、自分のなかで感覚が違いました。
ここは働いている間、ずっと葛藤がありました。
断られても、また声をかけなきゃいけない
声かけも最後まで好きにはなれませんでした。
一度断られるくらいならまだしも、それが続くと結構きつい。
それでも給料をもらって仕事をしているので、
「私は声かけ向いてないんでやりません」
とは言えません。
嫌だなと思いながらも、必要なら声をかける。
また断られる。
ちょっとへこむ。
それでもまた声をかける。
私にとっては、これだけでも結構エネルギーを使う仕事でした。
向いてないと思っても、自分なりに努力はしていた
「そんなに向いてなかったなら、5年間どうしてたの?」という話なんですが、苦手なりにやれることはやっていました。
お客様の顔や以前の接客を思い出せるようにメモをつける。
売れない商品があればPOPを作る。
売場を目立つように変えてみる。
サンプルをつけたり、ラッピングを工夫したりする。
必要なら自分から声をかける。
「向いてないから仕方ない」と諦めていたわけではありません。
仕事として任されていて、給料ももらっている以上、少しでも結果を出せるように努力するのは当たり前だと思っていました。
実際、5年間でできるようになったことはかなり増えています。
それでも、
「慣れたら意外と向いてた!」
とはなりませんでした。
ここは自分でも結構面白いところで、できるようになることと、その仕事が自分に向いていると感じることは別なんだと思います。
仕事内容だけじゃなく、遅番中心の生活もしんどかった
私が辞めたいと思っていた理由は、化粧品の仕事そのものだけではありません。
当時は子どもがおらず、化粧品担当だったこともあって、遅番に回ることが多くありました。
これが結構つらかったです。
遅番が続くと体調もよくないし、家族とも生活時間が合いません。
「この生活、いつまで続けるんだろう」
と思うこともありました。
化粧品担当に向いているかどうか以前に、働き方そのものが自分の生活に合っていなかった部分も大きかったと思います。
実際、辞められるなら辞めたいと本気で考えていた時期もありました。
それでも5年続けたのは、かなり現実的な理由
それだけ辞めたいと思っていたなら、なぜ転職しなかったのか。
一番大きかったのは、
「辞めたいから辞める」だけでは、その後の生活がどうにもならない
という現実的な問題でした。
別のドラッグストアに行っても同じでは?と思った
転職を考えたことはもちろんあります。
ただ、別のドラッグストアに転職したとしても、レジや品出し、接客、売場づくりなど、基本的な仕事はそこまで大きく変わらないだろうと思っていました。
それなら、また一から新しい会社のやり方を覚えて、人間関係も作り直して……と考えると、
「同じ業界に転職する意味あるかな」
となってしまいます。
辞めるなら、次は違う業界へ行きたい。
これはずっと考えていました。
給料が下がるのも困った
お金の問題もあります。
私が働いていたドラッグストアは年間休日が多い職場ではありませんでした。
その分、私が以前経験した調剤薬局などと比べると、給料はよかったです。
仕事はしんどい。
でも、辞めて給料が大きく下がるのも困る。
休日や仕事内容がよくなっても、生活できなければ意味がありません。
このあたりは「好きな仕事をしよう!」だけでは決められない、かなり現実的な問題でした。
違う業界へ行くなら準備してから辞めたかった
同じドラッグストアに転職する気があまりなかったので、辞めるなら違う業界へ行きたいと思っていました。
そうなると、勢いで辞めるより、何か資格を取るなど次につながる準備をしてから辞めたい。
働きながら資格の勉強をして、取得してから転職することも考えていました。
「今すぐ辞めたい」と思う日があっても、
「いや、せっかく辞めるならちゃんと準備してからにしよう」
という気持ちもありました。
その繰り返しです。
妊活中だったので、福利厚生も無視できなかった
そしてもうひとつ大きかったのが、当時妊活をしていたことです。
妊娠するタイミングが分からないなかで転職するのは、私にとってかなり悩む問題でした。
今の会社で利用できる福利厚生や、産休・育休のことを考えると、
「今転職するのは違うかな」
と思うこともありました。
育休を取得できたら、その後は何年か復帰して、今まで働かせてもらった分を少しでも返したいという気持ちもありました。
仕事だけを見れば「辞めたい」。
でも、これからの生活まで考えると「今じゃない」
そんな状態で続けていた時期も長かったです。
このままなら店長を目指そうかと思ったこともある
遅番が続くのがかなりしんどかったので、
「このまま子どもができなかったら、いっそ店長を目指そうかな」
と考えたこともあります。
私が働いていた環境では、店長は早番に入ることが多かったからです。
もちろん、せっかく働き続けるならキャリアアップしたいという気持ちもありました。
でも、それだけではありません。
「店長になった方が、今より生活時間がマシになるんじゃない?」
という、かなり現実的な理由もありました。
辞めるか続けるかだけではなく、同じ会社にいるなら少しでも自分が働きやすい方向へ行けないか、と考えていました。
向いてなかったけど、嫌なことばかりでもなかった
ここまで読むと、
「じゃあ化粧品担当、何が楽しくてやってたの?」
となりそうですが、もちろん嫌なことばかりではありません。
私が好きだったのは、お客様の悩みを聞いて、一緒に商品を選ぶことでした。
おすすめしたスキンケアを使った方から、
「肌荒れがよくなったよ」
「この前すすめてもらったやつ、よかった」
と言ってもらえるとうれしい。
メイクをして、鏡を見たお客様が喜んでくれるのもうれしかったです。
そして、今でも覚えているのが、
「あなただから買いたい」
と言ってもらえたこと。
売上をどんどん作るタイプではなかったかもしれないけれど、一人のお客様とじっくり話して信頼してもらう接客なら、自分にもできました。
だから、向いていなかった5年間を「全部無駄だった」とはまったく思っていません。
「できる仕事」と「向いている仕事」は同じじゃなかった
私は5年間働いて、最初のころよりできることがかなり増えました。
苦手な声かけもやった。
売上を考えてPOPや売場も作った。
お客様を覚えるためにメモも取った。
それでも最後まで、
「化粧品担当、私にめちゃくちゃ向いてる!」
とは思いませんでした。
だから今は、できる仕事と向いている仕事は、必ずしも同じではないと思っています。
逆に、
向いていない部分があるから、その仕事ができないわけでもありません。
苦手なことは工夫して、それでも難しいところは自分の得意な方法で補う。
私は積極的な販売は苦手だったけれど、お客様の話をじっくり聞く接客は好きでした。
化粧品担当にもいろいろなタイプがいていいんだと思います。
まとめ|向いてないと思いながら、私は5年働いた
私はドラッグストアの化粧品担当として約5年間働きましたが、今振り返っても「すごく向いていた」とは思っていません。
声かけは苦手。
売上を追うのも苦手。
人の顔を覚えるのも苦手。
それでも仕事である以上、自分なりに努力しながら働いていました。
そして5年間続けた理由も、「実はこの仕事が大好きだったから」という綺麗な話だけではありません。
給料、転職、資格、福利厚生、妊活、これからの生活。
いろいろ考えた結果、その時々で「今は辞めない方がいい」と判断していました。
一方で、お客様から頼ってもらえたことや「あなただから買いたい」と言ってもらえたことは、今でも化粧品担当をやってよかったと思える経験です。
向いていない=できない、ではない。
でも、できる=向いている、でもない。
化粧品担当になるか迷っているなら、「向いている人の特徴に何個当てはまるか」だけで決めなくても大丈夫です。
仕事内容はもちろん、勤務時間や収入、自分がどんな接客をしたいのか。
実際に働く自分の生活まで想像してみると、「自分に合う仕事なのか」が少し見えやすくなると思います。
化粧品担当として働いていて実際に何がきつかったのかは、以下の記事で詳しく書いています。
また、化粧品担当といっても化粧品の接客だけをしていたわけではありません。正社員としてレジや品出し、医薬品対応などもしていました。
実際の1日の流れや、化粧品以外にどんな仕事をしていたのかはこちらで詳しく紹介しています。

