妊娠がわかって嬉しい気持ちもつかの間、つわりが始まると仕事に行くことさえつらくなることがあります。
私も妊娠中、嘔吐や吐き気、においづわり、強い眠気やだるさがあり、仕事を続けるのが難しくなりました。
「つわりで仕事を休んでも傷病手当金ってもらえるの?」
「妊娠は病気じゃないっていうけど、対象になるの?」
「休職したら収入はどのくらい減るんだろう?」
当時の私はそんなことをひたすら調べていました。
結果として、私は「妊娠悪阻」の診断を受けて休職し、傷病手当金を受給しました。その後も復職することなく、貧血や切迫早産による自宅療養・入院を経て、そのまま産休に入っています。
この記事では、私がつわりで休職した経緯から、傷病手当金を申請した流れ、実際にもらえた金額、振り込まれるまでにかかった期間まで、実体験をもとにまとめます。
※傷病手当金の支給可否や手続き方法は、勤務先や加入している健康保険、個々の状況によって異なります。この記事では私自身の体験を紹介していますので、実際に申請する際は勤務先や加入している健康保険へ確認してください。
つわりで休職しても傷病手当金はもらえる?
結論からいうと、つわりを理由に休職した場合でも、条件を満たせば傷病手当金を受給できる可能性があります。
傷病手当金は、健康保険の被保険者が業務外の病気やけがによる療養のため仕事ができず、給与を受けられない場合などに支給される制度です。
「妊娠は病気ではない」とよくいわれるので、私も最初は「つわりで休んでも対象にならないのでは?」と思っていました。
しかし、つわりの症状によって仕事ができない状態になっている場合には、傷病手当金の対象となる可能性があります。
傷病手当金を受給するための条件
傷病手当金を受給するためには、主に以下の条件を満たす必要があります。
- 業務外の病気やけがの療養のためであること
- 療養のため仕事に就くことができないこと
- 連続する3日間を含み、4日以上仕事を休んでいること
- 休んでいる期間について給与の支払いがないこと
仕事ができる状態かどうかは、病名だけで一律に決まるものではなく、医師の意見や本人の仕事内容なども踏まえて判断されます。
そのため「つわりだから傷病手当金がもらえる・もらえない」と自己判断するのではなく、まずは現在の症状や仕事内容を主治医に相談することが大切です。
私は「妊娠悪阻」で診断書を書いてもらった
私の場合、嘔吐や吐き気、においづわりのほか、眠気や体のだるさもありました。
特につらかったのが、仕事中に自由に座れなかったことです。
接客の仕事だったため、体調が悪くても立っている時間が長く、お客様への声かけもしなければなりません。
過去の妊娠経験もあり、無理をして仕事を続けることにも不安があったため、主治医に相談しました。
診察の際には私から、
「仕事に行くのが難しいので、診断書を書いてほしい」
とお願いし、「妊娠悪阻」として診断書を書いてもらいました。
私の場合はつわりの薬も処方されており、主治医からは、症状があって通院し治療を受けていることなどについて説明を受けました。
これはあくまで私が主治医から受けた説明なので、「薬を処方されていれば必ず傷病手当金を受給できる」という意味ではありません。
仕事を続けるのが難しいほど症状がつらい場合は、仕事内容も含めて具体的に医師へ相談してみるとよいと思います。
有給をすべて使ってから休職した
私の場合、診断書を提出してすぐに傷病手当金を受け取り始めたわけではありません。
まず残っていた有給休暇をすべて消化し、その後に休職扱いとなりました。
傷病手当金には待期期間があり、連続する3日間を含めて4日以上仕事を休んでいることが支給条件のひとつです。
また、休んだ日に給与が支払われている場合は、原則としてその期間について傷病手当金は支給されません。給与額が傷病手当金より少ない場合などには差額が支給される場合があります。
有給をどのように使うか、いつから休職扱いになるかは会社の制度にもよるため、休職を考えている場合は人事や総務にも早めに確認しておくと安心です。
つわりで傷病手当金を申請した実際の流れ
私の場合、傷病手当金の制度は会社から教えてもらったのではなく、自分で調べて知りました。
実際の申請では、本人だけでなく、医師と会社にも必要な部分を記入してもらいます。
私の勤務先では、本人と医師が記入した書類を本社へ送り、本社で会社側の記入欄を記載したあと、そのまま健康保険へ転送してもらえる仕組みでした。
そのため、自分で健康保険へ直接郵送する必要はありませんでした。
会社によって申請方法は異なる可能性があるので、まずは勤務先に「傷病手当金を申請したい」と伝えて、提出方法を確認するのがおすすめです。
私は1か月ごとに申請した
傷病手当金は、長期間休む場合にまとめて申請することもできます。
ただ、私はできるだけ早く受け取りたかったため、医師に休職した期間を伝え、1か月ごとに書類を書いてもらって申請していました。
医師に記入をお願いする際の費用は、私が通っていた病院では1回1,000円程度でした。
毎月書類をお願いする手間と費用はかかりましたが、数か月分をまとめて申請するより、こまめに手続きを進めることを選びました。
母健連絡カードは使わなかった
妊娠中に仕事を休んだり、勤務時間の短縮などを申し出たりするときに使われるものとして「母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)」があります。
私も必要なのか確認しましたが、勤務先からは「診断書があるのであれば母健連絡カードは必要ない」と言われました。
そのため、私は母健連絡カードを使用せず、医師に書いてもらった診断書を提出しています。
ただし、これは私の勤務先での対応です。
必要な書類は勤務先によって異なる可能性があるため、診断書と母健連絡カードのどちらが必要なのか、会社へ確認してから医師に依頼すると無駄がないと思います。
途中で転院しても傷病手当金を申請できた
休職中、私は途中で病院を転院しています。
最初は妊活のときから通っていた病院で診断書を書いてもらっていましたが、その後、自宅から通いやすい病院へ転院しました。
「病院が変わったら傷病手当金の書類を書いてもらえなくなるのかな?」
という不安もありましたが、転院先でこれまでの経緯や症状、休職していることを説明したところ、転院後も書類を書いてもらうことができました。
少なくとも私が診てもらった先生方は、事情を説明すると協力的に対応してくれました。
転院を予定している場合は、これまでどのような症状があり、いつから仕事を休んでいるのかなどを転院先の医師にも伝えておくとよいと思います。
傷病手当金はいくらもらえた?私の場合の金額
休職するか悩んでいるとき、やはり気になるのがお金の問題でした。
私の場合、働いていたときの給与は、
- 額面:約30万円
- 手取り:約23万円
でした。
そして休職後、傷病手当金として振り込まれていたのは、1か月あたり約18万円です。
「普段の手取りが23万円で、傷病手当金が18万円なら、5万円くらい減るだけなのか」
と思うかもしれません。
しかし、実際はそうではありませんでした。
傷病手当金の「約3分の2」は手取りの3分の2ではない
傷病手当金の1日あたりの支給額は、原則として、
「支給開始日以前12か月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×3分の2」
で計算されます。
つまり、「いつもの手取り額の3分の2が振り込まれる」という制度ではありません。
また、傷病手当金そのものは非課税です。
ただし、ここで注意したいのが、休職したからといって今まで支払っていたものがすべてなくなるわけではないことです。
約18万円振り込まれても実際に残ったのは13万円ほど
私の場合、傷病手当金として振り込まれた金額は月約18万円でした。
しかし、休職中も社会保険料や住民税などの負担がありました。
さらに私の場合は、組合費や加入している保険料など、給与から支払っていたものの負担もあります。
そのため、実際に自由に使えるお金として残ったのは、月13万円程度だったと思います。
普段の手取りが約23万円だったので、
「23万円→18万円だから、5万円減るだけ」
ではなく、
「23万円→実質13万円程度」
という感覚でした。
月に10万円近く使えるお金が減るので、家計への影響は決して小さくありません。
傷病手当金を調べていると「給与の約3分の2」という部分に目が行きがちですが、休職中にも支払いが続くものがないか、事前に確認しておくことをおすすめします。
なお、社会保険料や税金、会社独自の費用などの扱いは人によって異なります。私の「約13万円」という金額はあくまで一例です。
傷病手当金が振り込まれるまで2〜3か月かかった
もうひとつ、休職する前に知っておきたかったのが、実際にお金が入るまでの期間です。
私の場合、傷病手当金の書類を提出してから実際に振り込まれるまで、2〜3か月ほどかかりました。
私は会社経由で申請していたため、
本人・医師が記入
↓
本社へ提出
↓
本社で会社側の必要事項を記入
↓
健康保険へ転送
↓
審査
↓
振込
という流れでした。
健康保険側で申請書が受け付けられてからの審査期間とは別に、会社で書類を処理してもらう時間などもあります。
そのため、私の場合は「休職してすぐ翌月から傷病手当金が入ってくる」という状態ではありませんでした。
休職すると給与が入らなくなる一方で、社会保険料や住民税などの支払いは続きます。
傷病手当金を利用する予定でも、振り込まれるまで時間がかかる可能性を考えて、当面の生活費を確保しておいたほうが安心だと思います。
つわりが落ち着いてからも復職せず、そのまま産休へ
私の場合、つわりが落ち着いてきたあとも、結局仕事に復帰することはありませんでした。
つわりの症状が改善してきたころに今度は貧血になり、その後すぐ切迫早産になったためです。
切迫早産では最初は自宅療養をしていましたが、最終的には入院することになりました。
妊娠初期に休職したときには、ここまで長期間仕事を休むことになるとは思っていませんでした。
妊娠中は体調がどのように変化するかわかりません。
「つわりが終わったら仕事に戻れるだろう」と思っていても、私のように別の理由で療養が必要になることもあります。
結果的に私は復職することなく、傷病手当金を受給しながら休職を続け、そのまま産休に入りました。
産休に入ってからは出産手当金を申請した
産休に入ってからは、傷病手当金ではなく出産手当金を申請しました。
傷病手当金と出産手当金の対象となる期間が重なる場合には、原則として出産手当金が優先されます。
私の場合は、出産手当金を前半と後半の2回に分けて申請しました。
少しでも早く受け取りたかったため分けて申請したのですが、こちらは申請から1か月程度で振り込まれました。
傷病手当金では2〜3か月ほどかかった経験があったので、思っていたより早く振り込まれた印象でした。
傷病手当金からそのまま産休に入る場合は、いつまで傷病手当金の対象になるのか、いつから出産手当金に切り替わるのかも会社や健康保険に確認しておくと安心です。
LTD保険も対象になる可能性があったけれど申請しなかった
私の勤務先では、休職時に利用できるLTD保険にも加入していました。
確認したところ私の場合も対象でしたが、申請には転院前と転院後、それぞれの病院の診断書が必要でした。
傷病手当金の申請だけでも毎月医師に書類をお願いしていたうえ、LTD保険はさらに手続きが複雑だったため、私は最終的に申請しませんでした。
今振り返ると、休職したときには傷病手当金だけでなく、会社独自の休職制度や加入している保険から給付を受けられないかも確認しておけばよかったと思います。
勤務先によって福利厚生や加入している保険は異なるので、就業規則や会社の制度を一度確認してみてもよいかもしれません。
入院・手術後には医療保険の給付も申請した
妊娠中はその後入院することになり、最終的には手術も受けたため、加入していた医療保険にも給付金を申請しました。
こちらは傷病手当金とは別の手続きで、私の場合は申請から1週間ほどで振り込まれました。
妊娠・出産では、状況によって傷病手当金、出産手当金、民間の医療保険など、利用できる制度や給付が複数にまたがることがあります。
ただでさえ体調が悪いなかで一つひとつ調べるのはかなり大変でした。
妊娠中に休職や入院をすることになったら、健康保険だけでなく、自分が加入している民間保険や勤務先の制度についても一度確認してみることをおすすめします。
つわりで仕事を続けるのがつらいなら主治医に相談してみて
私はつわりで休職するまで、
「妊娠は病気じゃないし、このくらいで仕事を休んでいいのかな」
という気持ちがありました。
特に私の仕事は立っている時間が長く、お客様への声かけも必要です。
体調が悪いからといって好きなタイミングで座ったり休憩したりできる環境ではなく、つわりの状態で続けるのはかなり厳しいと感じていました。
そこで主治医に事情や症状を伝え、自分から診断書について相談しました。
結果的にはそのまま長期の休職になりましたが、無理をして仕事を続ける以外にも選択肢があると知れたことは大きかったです。
傷病手当金を受給できるかどうかは、それぞれの症状や仕事内容、加入している健康保険などによって異なります。
それでも、
「つわりくらいで相談していいのかな」
「仕事を休んだら収入がなくなるから無理して働くしかない」
と一人で決めてしまう必要はありません。
仕事を続けるのが難しいほどつらい場合は、まず主治医に「どんな症状があるのか」だけでなく、「仕事でどんなことをしなければならず、何がつらいのか」まで具体的に伝えてみてください。
あわせて勤務先にも、休職制度や傷病手当金の申請方法、休職中に支払いが必要になるものを確認しておくと安心です。
私自身、実際に休職してみて、傷病手当金があることにはかなり助けられました。
一方で、振り込まれるまで2〜3か月かかったことや、月約18万円が支給されても社会保険料や住民税などを支払うと実際に残るのは約13万円だったことなど、申請して初めてわかったこともあります。
この記事が、つわりで仕事を続けることに悩んでいる方が、休職や傷病手当金について調べるきっかけになれば幸いです。